◉この記事の概要
グループ約2000人中、110人の外国籍社員が働いているソミック(2025年3月の取材時)。彼ら外国籍社員にとって真に働きやすい環境を整え、パフォーマンスを十分に発揮してもらうには、中小企業としてまず何から手をつけたらいいのでしょうか?そんなテーマに真正面から取り組んでいるのが、フィリピン出身のロックスさんです。自身も外国籍の当事者として奮闘しながら、経営学の知見を活かして、アイデアを出していく。その挑戦の現在地を、やりがいと共に聞きました。
◉この記事の見出し
- グロービスで学んだことを、活かせる場所はどこだろう?
- フィリピンで耳にした、他人事でない日本の「危機感」
- 日本人社員の側も、変わろうと思っていたんだ!
- 言葉の壁も、文化の壁も、一緒になって乗り越える
- ソミックを、中小企業のDEIのパイオニアに
◉お話を聞いた人

(株)ソミックマネージメントホールディングス 海外人事部 海外人事室。2024年入社。DEI*推進を担当。
* Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の頭文字をとったもので、企業経営において従業員それぞれの個性を活かし、より高い価値を生み出そうとする考え方
グロービスで学んだことを、活かせる場所はどこだろう?
ロックスさんは、ソミックマネージメントホールディングスの海外人事部に所属しています。主な仕事はソミックグループのDEIの推進。DEIとはDiversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の頭文字をとったもので、企業経営において従業員それぞれの個性を活かし、より高い価値を生み出そうとする考え方です。ロックスさんの場合はDEIの中でも特に、外国籍社員の働く環境を整え、一人ひとりが十分にパフォーマンスを発揮してもらうことを目指す取り組みを行っています。
*ソミックマネージメントホールディングスの取締役副社長
ロックスさんは英語話者。対してソミックの社内はほとんど日本語です。そのため現在は同じグローバル人事部の社員が一人、ロックスさんの仕事をサポートしており、通訳や社内のキーマンとのアポイント、アンケートの作成や解読を手伝っています。
フィリピンで耳にした、他人事でない日本の「危機感」
フィリピン出身のロックスさん。母国での前職は、英会話スクールのスタッフでした。
来日後、彰吾さんを通じてソミックに興味を持ち、そこで働く人々を好きになり、浜松のことも大好きになったと言います。
日本人社員の側も、変わろうと思っていたんだ!
ソミックの外国籍採用は、時代ごとにその目的を異にします。90年代は工場で働くブラジル人を積極的に採用。2000年代に入ると、海外拠点の増加に伴い日本と海外の橋渡しをしてくれる外国籍人材を採用。そして今は圧倒的な人手不足を背景に、ロックスさんのようにマネジメントを学んだ方や、ICTやAIの専門性を持った方々など、地方ではなかなか採用しづらい人材を外国籍で採用へ。その数は、グループ約2000人中110人、8カ国の外国籍人材に上ります(2025年3月時点)。
採用の目的が変わるにつれて、日本人と外国籍社員の関係性も変わってきています。以前は「日本の会社なのだから」と、日本語を話せる人を求め、日本のやり方に合わせてくれるよう外国籍社員に求めてきました。しかし今は日本人の側も変わっていかないといけないという意識が強く、ロックスさんが実施したアンケートにもその実態は映し出されていたようです。
言葉の壁も、文化の壁も、一緒になって乗り越える
外国籍当事者としてのロックスさんの感覚と、アンケートの結果を受けて、ロックスさんはまず「言葉の壁」に取り組もうとしています。
実はロックスさん、インターンの時には「バディ制度」というものを会社に提案しています。バディ制度とは仕事を教える先輩後輩関係とはやや異なり、外国籍社員が日本の会社のカルチャーに馴染むことをサポートする存在のこと。
社内の英語の総量を増やし、また外国籍社員の側も日本の文化に馴染めるようにサポートしていく。互いが互いに近づいていくやり方を、ロックスさんはまだまだ模索している最中だと言います。
ソミックを、中小企業のDEIのパイオニアに
最後に、ロックスさんがDEI推進に情熱を傾ける理由をお聞きしてみました。
DEIのゴールは人々がお互いをリスペクトし合い、本当の調和を感じられることだと話すロックスさん。潤沢な予算がなくても、何もかもが揃わなくても、多くの人が取り入れられる「仕組み」を創造することで、その調和を生み出してみせる。そんな革新の最先端で、ロックスさんは今日も奮闘を続けています。