◉この記事の概要
ソミックワンにて、毎週金曜日の昼休みに行われている「ボッチャ」。年齢・性別・障がいの有無に関係なく楽しめるパラスポーツの一種で、ジャックボールという白い球を目がけて両チームの選手が赤と青のボールを投げ合い、ジャックボールの近くにいくつ置けるかを競います。高橋さんと星さんは、仕事における交流はあまり多くはないものの、ボッチャでは同じチームの仲間同士という間柄。「ボッチャのできる職場」になって、周りとの関係や自分自身にどんな変化があったか、お伺いします。
◉この記事の見出し
- 金曜日は、ボッチャの日
- 昼休みは各自でスマホ。本当はもっと……交流したい!
- 仕事は黙々。ボッチャは熱く
- ボッチャは遊び。勝敗は関係ない
- 劇的な変化はなくとも、確実な変化がある
◉お話を聞いた人

㈱ソミックワン 業務部洗浄チーム。2019年入社。特別支援学校卒。ソミックワンのボッチャチーム「ワンダーソミッチャーズ」の選手権監督。

㈱ソミックワン 業務部洗浄チーム。2020年入社。特別支援学校卒。ソミックワンのボッチャチーム「ワンダーソミッチャーズ」の選手兼リーダー。
金曜日は、ボッチャの日
ソミックワンの昼休み。工場裏に集まったおよそ15人の社員たちが、「おお〜」「すごい(パチパチ)」「あぁ、しまった……」と声を上げながら、和やかにボッチャを楽しんでいます。
パラリンピックの正式競技でもあるボッチャ。そのボッチャをソミックワンが会社として取り入れたのは2023年12月のことです。きっかけは、ボッチャの審判資格を取ったグループ社員の呼びかけでした。
昼休みは各自でスマホ。本当はもっと……交流したい!
障がいのある社員や高齢の社員など、さまざまな人が働くソミックワン。穏やかな職場環境ではあるのですが、課題として、社内でのコミュニケーションの少なさがありました。
障がいのある方々は、集中して黙々と働く傾向があり、休憩中はそれぞれがスマホを見て好きな場所で過ごしていることがほとんどです。話しかければ気さくに応じ、たくさんのことを話してくれるのですが、どこか気を遣っている雰囲気も。
「仕事の場を離れて、先輩後輩の垣根なく、もっと仲間としてコミュニケーションを取れないだろうか?」
そんな想いから、皆でできるレクリエーションを模索していた矢先、グループ社員の一人がボッチャの審判資格を取得。「せっかくだから、会社のみんなでしませんか?」と提案してくれたことから、ソミックワンでのボッチャが始まりました。
仕事は黙々。ボッチャは熱く
現在ボッチャに参加している「いつものメンバー」は、高橋さん、星さんを含む4〜5人。チーム名はワンダーソミッチャーズ。名付け親は星さんだそうです。
高橋さんと星さんは、普段は同じ室内で違う仕事に従事しています。高橋さんの仕事は軍手の洗濯・乾燥・袋詰め。星さんの仕事は製造現場で使う箱類の洗浄です。
年齢は違えど、同じ支援学校を卒業している二人は、就職して初めて出会い、「話したいことがあれば自分から切り出して話すくらいの仲」に。プライベートで遊びに行くことはないものの、更衣室などで会えば言葉を交わしていたといいます。そんな二人にさらに「ボッチャ仲間」という新たな関係性が加わりました。
ボッチャは遊び。勝敗は関係ない
もともと、高橋さんは支援学校時代の体育の授業でボッチャを始め、大会への出場経験も多数のベテラン。一方の星さんは未経験だったものの、支援学校時代にはバスケに打ち込んで好成績を残すなど、運動神経は抜群。
互いのプレーと実力を讃えあう二人ですが、社外の大会に対する考えは真逆。
それでも二人が一致するのは、「何よりも楽しむことが大事」という考え方。
劇的な変化はなくとも、確実な変化がある
本音を言うと、もっとボッチャの参加者を増やしたいと思っている二人。
あくまでも自由参加の遊びのボッチャ。誰かに声をかけに行くのも「貴重な昼休みに声をかけていいのかな」「断られたら嫌だな」という気持ちのハードルがあり、最近はなかなかできていないのだそうです。
コミュニケーションを活発化して、もっとワイワイと賑やかな仲間意識を育もうという目的で始まったボッチャですが、その目的に対してはまだまだ道半ば。ただ、参加した人から少しずつ変化はあるようで、
大会は出ないと言っていた星さんが、大会に!
ボッチャには、スピード感や激しさはありませんが、コート上で関係し合う球同士のドラマがあります。どの一投が、その後どう影響するか、わからないのは人も一緒。「ボッチャをする」という交流の選択肢は、各自のペースを尊重しながら、ソミックワンの文化として緩やかに定着し始めています。